WHO(世界保健機構)が臨床研究により鍼灸治療で効果があると認定している疾患を紹介します(2002年発表)。
なお、WHOのレポートでは、認定している疾患を下記の四つのカテゴリーに分類していますので、疾患名の前に付記します。
[カテゴリー1]= 臨床実験で鍼灸が効果的な治療であると証明された疾患、症候
[カテゴリー2]=臨床実験で鍼灸が効果的であると示唆されるが、更なる証拠が必要とされる疾患、症候
[カテゴリー3]=小規模の臨床実験しか行われていないが、鍼灸の治療効果があり、通常の治療、他の治療法では治療が困難なため、鍼灸治療を試したらいいのではないかという疾患、症候
[カテゴリー4]=現代医学の知識と医療設備を兼ね備えた鍼灸師の下での鍼灸治療が推奨される疾患、症候
慢性痛:
[カテゴリー1] 顔面痛(顎関節症を含む)、頭痛
[カテゴリー2] 耳痛、側頭下顎骨関節症
運動器系:
[カテゴリー1] 膝痛、腰痛、テニス肘、リウマチ、肩関節周囲炎、頸の痛み・頸部脊椎症
[カテゴリー2] 線維筋痛症、筋膜炎、変形性関節炎による膝痛、根性痛・仮性根性痛症候群
外傷、術後の痛み:
[カテゴリー1] 捻挫、術後の痛み
痛風:
[カテゴリー1] 痛風による関節炎
神経系:
[カテゴリー1] 脳卒中後遺症、
[カテゴリー2] ベル麻痺、血管性認知症(脳血流低下や広義の脳血管障害に起因する)
[カテゴリー4] 麻痺、球麻痺・仮性球麻痺
呼吸器系:
[カテゴリー1] アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)
[カテゴリー2] 気管支喘息、喉の痛み(扁桃炎を含む)
消化器系:
[カテゴリー1] 吐き気、嘔吐、胆道疝痛
[カテゴリー2] 腹痛(急性の胃腸炎、慢性胃炎、胃腸の痙攣による、急性の消化性潰瘍)、潰瘍性大腸炎、胃運動の障害、胆嚢炎(慢性で急性の悪化)、胆石症、過敏性腸症候群
婦人科:
[カテゴリー1] 月経困難症(一次性)、つわり、逆子、分娩誘発
[カテゴリー2] 女性の不妊症、卵巣内分泌減退症、多嚢胞性卵巣症候群(スタイン・レーベンタール症候群)、月経前症候群、陣痛緩和
泌尿器、生殖器系:
[カテゴリー1] 腎疝痛
[カテゴリー2] 男性機能障害(非器質性)、前立腺炎(慢性)、尿石症、女性の尿道症候群、下部尿路感染症
血液系:
[カテゴリー1] リンパ球減少症
循環器系:
[カテゴリー1] 一次性低血圧、本態性高血圧(早期)
[カテゴリー2] 心臓神経症(心臓症恐怖症)
[カテゴリー4] 冠動脈疾患(狭心症)
精神疾患:
[カテゴリー1] 鬱、ノイローゼ
[カテゴリー2] ストレス症候群、タバコ依存症、アルコール依存症、薬物依存症(オピウム、コカイン、ヘロイン)、総合失調症
小児科:
[カテゴリー2] トゥーレット症候群、百日咳
[カテゴリー4] 下痢、ひきつけ、ウィルス性脳炎(後期)
感覚器:
[カテゴリー2] メニエール病、耳痛(心因性)、鼻血(疾患と関係のない単純な鼻血)
[カテゴリー3] 突発性難聴、色盲
皮膚科:
[カテゴリー1] 帯状疱疹
[カテゴリー2] 掻痒症(かゆみ)、神経皮膚炎、にきび
[カテゴリー3] 肝斑
癌:
[カテゴリー1] 放射線治療・化学療法の副作用
[カテゴリー2] 癌による痛み
その他:
[カテゴリー2] 肥満症、高肪血症、糖尿病(インスリン非依存性、二次性)、シェーグレン症候群、薬による唾液分泌過多、レイノー現象(原発性)、チーツェ症候群